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読書記録とか日記とか
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bb4dbafb.jpeg高校生以上の人なら1度は教科書で中島敦の山月記を目にしたことがあるだろう。
難解な漢字と漢詩で武装して、いかにも人を寄せ付けない雰囲気の作品だ。
しかし読んでみると不思議とすらすら読めるものである。

エンターテインメントなのだろうね。やはり。
エリートが高潔な理想に生きようとして挫折する。青年漫画かなにかにありそうな話でもある。

今回紹介する作品、「虎と月」はその山月記を題材としたジュブナイル小説である。
作者の柳広司は今もっとも勢いのあるエンターテインメント作家だと思う。
あらゆる題材を斜め上から飲み込んでいく大きなうねりのような、そんな作風だ。
これまでザビエルを、漱石を、シュリーマンを、ソクラテスらをミステリに飲み込んだ柳広司氏という巨大な渦が次に飲み込んだのが悲劇の怪異談「山月記」であった。
まさに文系オタク少年少女の夢を詰め込んだ作品群を築き上げた柳氏のアレンジは悲劇をミステリへと転化し、人虎・李徴とその友人袁参の物語を少年の冒険譚へと作り変えた。

これまで読んだ柳氏の作品と比べ、この「虎と月」は李少年の一人称で書かれているために非常に読みやすく、李徴の残した謎も非常にさらりとした冷麦がごときのどごしとなっている。
柳氏入門本としてはあまりに普段と文体の毛色が違う点で少し不適かもしれない。
しかし、柳氏の作風をとらえるには適した作品と言えると思う。

これを読んでシンパシーを感じたならば、現在話題となっている柳氏のスパイ短編集「ジョーカーゲーム」または角川文庫のザビエルと時をかけるミステリ「ザビエルの首」を是非続いて読んでいただきたい。


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